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  • Writer's picture佐藤 和弘

効率系と創造系の2種類の生成AIの活用の観点

生成AIの使い道は、大きく「効率系」と「創造系」の2種類に分けることができます。


前者は、例えば文書の自動作成や文章の要約など、10の労力を自動化によって5に減らすといったイメージで、「分母」の議論と言えます。世の中の生成AIにおける議論は、多くが効率系の議論ではないかと思います。医療現場においても、今後ますますスタッフ不足が深刻になることが予想されますから、限られたスタッフ数で決められた業務をこなしていくためにも、効率系の観点で生成AIを活用していくことは大切です。


一方で、医療現場においては、スタッフの労力を減らすだけではなく、新たな価値をつくり出していくことも求められます。それが後者であり、0から1をつくっていくといったイメージで、「分子」の議論と言えます。


つまり、医療現場においては、生成AIを活用して分母を減らし(効率系)、分子を増やす(創造系)の両方の取り組みが求められますが、生成AIの特性を勘案すると、実は前者はあまり相性が良くない、むしろ後者の方が相性が良いのではないかと考えています。


効率系の観点からの生成AIの活用というのは、すでに決められた業務があって、それを自動化によって正しく行うということが求められるといったことを意味します。しかし、大規模言語モデルを前提とすれば、あくまでも「次の単語を予測する」という特性上、生成された内容が正しいこともあれば間違うこともあるため、そもそも「決められたことを正しく行う」ということにあまり向いていないととらえることができます。


それに対して、創造系の観点からの生成AIの活用というのは、新たな業務を決めるために、人間だけでつくり出せない(つくり出すことが難しい)アイデアをつくり出すということを意味しますから、一見間違っているように見える(期待していなかった)内容が役に立つといったこともあるでしょう。つまり、正しさを求められない分、生成AIは効率系より創造系の観点からの活用のほうが向いているととらえることができます。


ただ、向き不向きは別にしても、生成AIの活用に関しては、効率系と創造系の両方の観点から考えていくことが大切だと言えます。

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