国家元首であり大元帥である昭和天皇ですら「空気を支配する決定権は、ない」と語っている。これ以上に、空気の恐ろしさを表現する方法はないのではないだろうか。
組織変革を推し進めるためには、「強大な権力と影響力を持ったトップですら、組織の空気に従わざるを得ない」という不都合な真実に、トップ自身も組織のスタッフも向き合うことが極めて重要になる。
また、敗戦の原因として挙げられている四つの内容は、実は全て「外部環境」ではなく「内部環境」である。ここから得られるのは、「組織の崩壊は内から起こる」という非常に重要な教訓である。この自壊の論理から目を背け、組織の問題を外部環境のせいにし続ける限り、組織変革はただのスローガンで終わってしまう。 *************************** 所謂御前会議といふものは、おかしなものである。枢密院議長を除く外の出席者は全部既に閣議又は連絡会議等に於て、意見一致の上、出席してゐるので、議案に対し反対意見を開陳し得る立場の者は枢密院議長只一人であつて、多勢に無勢、如何ともなし難い。 全く形式的なもので、天皇には会議の空気を支配する決定権は、ない。 *************************** 敗戦の原因は四つあると思ふ。 第一、兵法の研究が不充分であつた事、即孫子の、敵を知り、己を知らねば、百戦危からずといふ根本原理を体得してゐなかつたこと。 第二、余りに精神に重きを置き過ぎて科学の力を軽視した事。 第三、陸海軍の不一致。 第四、常識ある主脳者の存在しなかつた事。往年の山縣〔有朋〕・大山〔巌〕・山本権兵衛、と云ふ様な大人物に缺け、政戦両略の不充分の点が多く・且軍の主脳者の多くは専門家であつて部下統率の力量に缺け、所謂下剋上の状態を招いた事。 昭和天皇独白録 (文春文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4167198037/ref=cm_sw_r_cp_api_i_jaXKEbKENBR8N
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