「最近話題の◯◯方式を自組織で取り入れたが、なかなか上手くいかないのはなぜ?」
このように、ある組織(施設)で上手く行っている方式や手法などを他の組織が取り入れても同じような成果が得られないといったことは、さまざまな医療現場で繰り返されてきた歴史ではないでしょうか。僕の答えはシンプルで、
「その組織と自組織では、働いている人(スタッフ)も患者さんも環境もやっていることも違うから」
ということです。この考え方を押さえておかなければ、ある方式を取り入れて上手くいかなければ、また別の方式を取り入れるといったことを繰り返した結果、どの方式も組織に定着せず、それどころか「また今度は⬜︎⬜︎方式だって。どうせまた(前みたいに)上手くいかないよ」といったように、過去の失敗体験が未来の成功体験をつくる足かせになるということが起こりかねません。
ある組織で上手くいっている方式なのであれば、おそらく、その方式には何かしらの有意義な特徴があるはずで、問題の原因は、方式自体というより、その方式の取り入れ方、言い換えれば、組織への「馴染ませ方」にあるのではないでしょうか。それぞれの家庭の味が違うように、「ある組織の口に合う味と自組織の口に合う味は違う」ととらえると、大事になるのが、「味のアレンジ」です。
「ウチの組織はこのようなスタッフがいて、このような患者さんに対して、このような環境のなかでこのような業務を行っている。それは、あの組織とはAという部分で違いがある。だから、ウチではAの部分をBのやり方に変えてみよう!」
このように、試行錯誤してアレンジをし、自組織の口に合う方式につくりかえていくのです。そして、だからこそ大事なのが「アレンジの試行錯誤期間を確保しておく」こと。そのためにも、
「まあまあ、騙されたと思ってしばらく続けながら、ウチの組織に合うようにアレンジしていきましょう!」
といったように、リーダーには「健全にごまかす」コミュニケーションが求められます。
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