双方向によるオンライン組織学習のメリットの1つは「アウトプット量の最大化(空間的制約からの解放)」である。
通常のオンライン学習には、一方向(動画視聴など)と双方向(講師と参加者との対話)の2種類があるが、これらは明確に分けて捉える必要がある。
前者は「良い食材を集める(知識を養う)」ことであり、後者は「調理の腕を磨く(考える力を養う)」こと。そして、考える力を養うためには、いかに「言語化」するかが重要である。
実は、この「言語化」において、リアル組織学習にはある制約がある。それは、ある学習者が話し手になっている(意見を述べている)間、他の学習者は全員が聞き手になってしまうことだ。これでは、限られた研修時間の中で、学習者の言語化を増やすのは難しい。
対して、むしろオンライン組織学習の方が優れているのは、チャットを用いて「全員が話し手になることができる」ことにある。
例えば、講師が「ではこの問いに対して、チャットを使って1分で答えてみてください」といったことを学習者に振り、一斉に言語化してもらう。こうすると、学習者の考えが一覧で見える化され、それらの意見をさらに学習者が学ぶという循環も生まれやすい。
実際の双方向のオンライン組織学習は、リアルとオンラインをかけ合わせたハイブリッド型が現実的だ。具体的には、スタッフに研修室などに集まってもらいリアルに議論し、その場と講師をオンラインでつなぐ方法である。
したがって、スタッフ1人ひとりではなく、グループごとに議論した内容をチャットに言語化してもらい、それを講師が見ながら音声やチャットでフィードバックする。これによって、やはりリアルだけでは空間的に制約がある、「講師が複数のグループの議論に同時にフィードバックできない」という問題を解決することができる。
個人学習と組織学習は明確に異なる。あくまでも、現場で共に働くスタッフ同士の学びの場はリアルが基本。したがって、リアルだからこその学びの価値とオンラインだからこその学びの価値の良いとこ取りができる、ハイブリッド型を前提として、いかにアウトプット量の最大化を設計していくかが肝になる。
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