オンライン組織学習のメリットの1つは「オンラインコミュニケーションの訓練」である。
医療の本質的な価値はリアルにあるが、今後、その周辺的な価値はオンラインに代替されていく。だが、その際に難所となるのは、リアルコミュニケーションからオンラインコミュニケーションへの変化に適応することである。
コミュニケーションには「言語」と「非言語」があり、互いに関係している。そのなかで、リアルに対してオンラインでは、特に非言語が伝わりにくいため、それが言語の理解を難しくする。したがって、映像の中で限られた非言語(表情や身振り手振り)を表現しながらも、いかに非言語の不足分を言語で補っていくかが重要になる。具体的には、リアルよりも丁寧な「論点整理」「それぞれの論点における重要なポイントの明確化」「言葉のシンプル化とテンポの低速化」などである。
対して、やはり非言語も重要で、表情もさることながら、身振り手振りで言語の理解を促すかといった「非言語による概念化」や、重要なポイントを強調するしぐさなど、細部にわたるまで考える必要がある。
一方で、コミュニケーションにおいて重要な第3の視点がある。それが「空気」である。組織変革の文脈においては、往々にしてネガティブな側面で語られるが、本来空気は中立であり、当然ながら人を動機づけるようなポジティブな側面でも語ることができる。しかし、リアルに対してオンラインでは、その空気を体感することが難しいため、言語と非言語だけでは伝わらないコミュニケーションもある。そのうえでは、いかに空気を擬似体験するようなオンラインコミュニケーションを実現させるかも鍵になってくる。
オンライン組織学習を通じて、これらのオンラインコミュニケーションの難所に向き合い、訓練を通じて乗り越える。それが、これから来るであろう、本格的なリアル×オンライン医療に向けた組織的な準備となる。
Comments