有事のリーダーシップにおいて避けなければならないのは「過度の楽観」であり、重要なのは「健全な悲観」である。
だが、この「健全な悲観」のバランスを保ち続けることは簡単ではない。日々状況が変わり続けるなかで、そのたびに「健全な悲観」をもとに判断しようとしていると、その悲観が積み重なり、いつの間にか「過度の悲観」に陥りかねないからだ。
悲観は「健全」であることに意味がある。それが「過度」になってしまうと、組織の中に暗い影を落としてしまい、絶望感の空気に支配されてしまう。
だからこそ大事なことは、スモールウィン(小さな成功)によって、「過度な悲観」に陥らないようにバランスを取ることである。
日々の9割の悲観のなかで、1割の楽観につながるスモールウィンを生み出す。そのスモールウィンの種は、誰かのちょっとした感謝だったり、ほっとした表情かもしれない。リーダーは、そのほんの一瞬のスモールウィンの種を見逃さず、見つけ、拾いあげ、ポジティブに意味づけ、スモールウィンとして組織全体に伝える。
こうして、組織の人たちが絶望感の空気に支配されないように支えることが、有事のリーダーの重要な役割となる。スモールウィンは、組織の人たちを救い、そしてリーダー自身も救うことになる。
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