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Writer's picture佐藤 和弘

他組織の事例から学ぶための「独自の条件・隠れた条件の抽出」

他の組織(施設)の事例を学ぶことは大切ですが、そのまま自組織に適応することはできません。例え同じ分野の業務を行っていたとしても、スタッフも患者さんもやり方も環境も同じではないからです。従って、他組織のやり方を自組織に適応するためには、その間に何かしらの工夫、言い換えれば「変換作業」が求められます。


その変換作業が、「抽象化(一般化)」と「独自の条件・隠れた条件の抽出」です。


例えば、ある治療の開始時の手技に高い専門性が必要になるため、高い専門性を有したスタッフと、そのスタッフを補助するスタッフに分業した結果、ミスが減ったという事例があったとします。


ここでの抽象化作業は「分業」ですが、自施設で同様にその手技に関する分業を行うためには、独自の条件があることがわかりました。その1つは高い専門性を持ったスタッフと補助のスタッフをどのような基準で分けるかということです。というのは、その組織では、患者さんごとの特徴によってその手技が得意なスタッフが異なっているため、固定的な分業を行うことが難しいからです。


このように、他組織とは異なる独自の条件や、報告されていなかった隠れた条件を抽出し、その条件を考慮したうえで自施設に適応させていくのです(他施設の独自の条件なども抽出しながら)。


令和4年 10 月1日現在における全国の医療施設総数は 183,364 施設*と言われていますが、


「183,364通りの医療施設の『性格』がある」


このようにとらえてみると、独自の条件・隠れた条件を抽出することの大切さがわかります。

*厚生労働省 令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況 結果の概要 医療施設調査

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