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Writer's picture佐藤 和弘

共通言語は、組織の現場力と競争力の源泉である

未だ医療では、「共通言語をつくる」ということが過小評価されているのではないだろうか。


医療現場では、主に職種と分野と職位別に様々な「個別言語」が生まれる。それぞれの専門性を真面目に高めれば高めるほど、その個別言語は難解になり、自分の職種(分野・職位)ムラと他のムラが違うムラであることを強調してしまう。その結果、お互い不幸になることを経験的にわかっているにも関わらず、ムラ間の争いを繰り返してしまう。


では、このように様々な個別言語を話すムラ人同士をまとめるために大事なことは何か。それは、「言葉をそろえる」ことだ。このコミュニケーションの基本中の基本から目を背け、複雑な制度によってムラ間の協調性を高めようとしても、上手くいくはずがない。


共通言語とは、単に同じ言葉を話すことではない。同じ意味で捉えることである。そして、そのためには、ムラ人同士がその言語を使ってコミュニケーションした結果、お互いの半径5メートル以内のメリットにつながったというスモールウィンの残高を、長年かけて増やし続けなければならない。


このような途方もない年月をかけた地道な貯金活動を愚直に行った施設(組織)だけが、本当の意味で「共通言語」を持つことができる。だから、他の施設(組織)が見よう見まねで、単に同じ言葉を使うだけでは真似できないのは当然である。


「共通言語は、組織の現場力と競争力の源泉である」


日本を代表する超巨大組織は、すでに野球からサッカーにゲームのルールが変わってしまった中で、「自分たちは何屋か?」を模索し、製造業(自動車メーカー)からサービス業(モビリティカンパニー)へと大変革への舵を切った。そのトップオブトップが、共通言語の重要性を強く訴え、何度もその言語(TPS)を語っていることにはどんな意味があるのか。


このことを理解すれば、変革リーダーの中に恐怖にも似た強烈に焦る気持ちが芽生えるはずだ。

***************************** 「会話が通じたのは、一体なぜでしょうか。それは、TPS(トヨタ生産方式)という共通の思想、共通の言語があるからだと思います。」

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