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Writer's picture佐藤 和弘

「有難い言葉」ではなく「日常の言葉」を使う

その業界で有名な◯◯先生の言葉にはパワーがあります。したがって、


「私の考えは間違ってなかった!だって、◯◯先生も同じように言ってるから!」


といったように自分の考えを強固にしたり、


「なるほど!そんなふうに考えたことがなかった!」


といったように新たな気づきを得るために、有名な◯◯先生の言葉に触れることは重要です。


一方で、そのような「ありがたい言葉」は、有名な◯◯先生だから言える言葉だととらえると、「有難い言葉」とも言えます。つまり、


「◯◯先生は特別だから言えることだけど、私は・・・

「◯◯先生の施設だからできることだけど、私の施設は・・・」


このように、実際に自組織の半径5メートルに引き寄せようとすると、有名な◯◯先生の言葉だからこそ取り入れることが難しい、見方を変えれば、自組織には取り入れることができない(と考えてしまう)理由にも使われてしまいかねません。


その有名な◯◯先生にとってみれば、聴講者のそれぞれの現場に取り入れてもらいたい想いで自分の言葉を伝えているのに、自分の言葉が特別視されてしまうがゆえに現場に取り入れてもらうことができないというのは、悩ましいジレンマでしょう。


ただ、これは言い換えれば、有名な◯◯先生の言葉という「特別な言葉」を、自分たちが普段から自然に使っている「日常の言葉」に咀嚼・変換することが求められるということでもあります。これは、有名な◯◯先生という背景を切り離す作業でもあります。


もちろん、他者を説得する際に、権威というパワーを健全に活用することは有意義な選択肢です。


「これは、私の考えだけでなくて、◯◯先生も言っていることですから!」


ただ、その権威というパワーがむしろ組織の行動力を阻害してしまうのであれば、有難い言葉ではなく自分たちの日常の言葉を使い、その日常の言葉にパワーを与えていくことが大切になります。

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