人材マネジメントにおいて、「採用」のマネジメントの次に重要と言える「配置」のマネジメント。この配置のマネジメントは「適材適所」に尽きますが、適材適所には大きく3つの視点があります。
1つ目は「部署単位の適材適所」。一般的に「配置」という言葉を聞くと、「部署移動」「ローテーション」といった部署単位の適材適所をイメージしやすいかもしれません。もちろん、Aムラ(部署)よりもBムラのほうがスタッフの日々の生活をより豊かにするのであれば、部署単位の適材適所を考えることも大事です。
2つ目は「個別業務単位の適材適所」。例えば、ある治療において穿刺業務を行うスタッフと補助業務を行うスタッフに分かれるといったように、場面場面における個別業務単位の適材適所を考えることも大事になります。
基本的には、スタッフがすでにあるムラで生活をしている場合は、まずはそのムラでより豊かな生活をする方法を考え(個別業務単位の適材適所)、そのうえで生活環境自体を変えた方がそのスタッフの生活がより豊かになると判断できる場合に、違うムラに移住する(部署単位の適材適所)ことを考える方が良いでしょう。生活環境を変えるというのは、本人や他のスタッフに大きな影響(メッセージ)を与えることだと言えるからです。
さらには、ともすれば、ムラを移住してもらうという選択をするということは、今のムラでの生活をより豊かにするための方法を考える(試行錯誤する)機会を奪ってしまうことにもつながってしまうかもしれません。
一方で、実は見過ごしてしまいやすいのが、3つ目の「職位単位の適材適所」ではないでしょうか。例えば、「経験年数が長い」「手技が優れている」スタッフだったとしても、それが管理者という役割に適していることを意味するとは限らないことは、多くの人が実感できることかもしれません。
適材適所とは、言わば「向き不向き」であり「得手不得手」。ですから、仮に経験年数が長いスタッフがいて、管理者という役割を担うことに適していないことがわかったら、管理者とは別のより適した役割を担ってもらう。逆に、経験年数は長くなくても、管理者に適していることがわかったら、その役割を担ってもらう(もちろん、その場合は「自分よりも経験年数の短い◯◯さんが管理者になるのは抵抗がある」といったような、他のスタッフの情理に関するマネジメントはより重要になるでしょうが)。
このように、経験年数といった暗黙の前提を健全に疑いながら、職位単位の適材適所の配置のマネジメントを行っていく。繰り返しになりますが、適材適所とは向き不向きであり得手不得手です。そのうえでは、管理者とスタッフといった職位の違いというのは、「上下関係」であるととらえるよりも「役割の違い」であるととらえることが大切になります。
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