まずは、5月に行ったリーダー研修Day1から3ヶ月かけて取り組んだ問題解決の事例を振り返り教訓を引き出す「学びのPDCA」セッション。いくら料理教室に通っても普段から家庭で料理を作らなければ腕は上がらないように、いくら研修を繰り返しても普段から現場で問題解決を実践しなければ考える力は養われない。いや、これも主従が逆で、普段から現場で問題解決を実践しながら、どうしてもそこでは得られない学びを補うために研修がある。あくまでも、Off-JTはOJTに従う。
そして、家庭で調理の腕を上げるために大事なことは「おばあちゃんの知恵袋」。料理教室など行かなくとも、長年料理を作り続けるなかで自然に「コツ(教訓)」を身につけるからこそ、時に有名店よりも美味しい料理になる。学習する組織とは、突き詰めると、この教訓を引き出し方を知っている組織を意味する。したがって、5-6人グループの5-6事例を振り返り、それぞれの教訓を引き出し、教訓大全集をつくっていった。
後半は、「概念からの脱却」セッション。これまでの医療教育、もっと言えば日本の教育の負の遺産によって根づき過ぎた「現実世界を概念で捉えてしまう」思考から「現実世界を行動(映像)で捉える」思考へと「元に戻す」ために、これから問題解決していく【現状】と【あるべき姿】を「ちょっとやってみますね」と言って演技だけで表現し、グループ内で共有し合ってもらった。
その中でのメッセージ。 「私たち医療者が【あるべき姿】を描くことが苦手なのは、これまで『学会』や『国』が【あるべき姿】を描いてくれて、そこを目指していけば良かったからです」 「本来は、現実世界を行動(映像)で表現することが正常であり、概念(文字)で表現することのほうが異常なのです」 「国が示す『診療報酬制度』という概念(文字)を行動(映像)で表現していくのは、現実世界(現場)にいる皆さんにしかできません」
研修後は、恒例の教育担当のリーダーの方々へのエグゼコーチングセッション。教育のための教育ではなく組織変革のための教育を考えるとはどういうことか、組織変革屋の課外授業を受けてもらった。
空気のマネジメントは、「赤信号みんなで渡れば怖くない」現象を戦略的につくり出し、リスクを分散することによって、スタッフ1人ひとりが行動できるようにすることに意義がある。それほど、医療はスタッフ1人にかかるリスクが大き過ぎるからだ。組織変革において、このリスキーシフトの重要性を、変革リーダーは深く理解しておかなければならない。
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